住宅ローンは
「いくら借りられるか」ではなく「いくら返せるか」
家づくり、特に注文住宅の場合は、準備しなくてはいけないことや選択しなくてはいけないことがたくさんあります。外観のデザインや間取りを決めるときはわりと皆さんワクワクした気持ちで「どんなふうにしよう♪」と考えたり「他のパターンもありかな?」と何度も熟考を重ねますが、住宅ローンのこととなると、「う~ん…よく分からない」…と選択を放棄してしまいがちです。
よく分からないまま銀行の窓口へ住宅ローンの相談に行き、「あなたの収入ならこれぐらい貸せます」と言われ「私たちはこれぐらい借りられるんだ」と思い込み、住宅会社に「予算はこれぐらいで」と伝える。予算内なら安心して理想の家をプランニングできる!と張り切ってしまう。。
でもちょっと待って下さい!
本当にその金額はあなたの予算ですか?
銀行はあくまで、あなたの収入から“貸せる上限”を提示しただけで、それが “イコール住宅の予算” ではありません。(そもそも“住宅の予算”という言葉にどこまで含むかにもよりますが、それはまた別の機会に詳しく書きます)。
自己資金や、親からの費用援助の有る無し、家族のライフスタイルや子どもの進学計画まで複合的に考えて、月々返済できる金額「いくらなら返せるか」をじっくりと検討しましょう。
どう選ぶ?4800種類もある住宅ローン
今日本に、住宅ローンと呼ばれる商品がこんなにもたくさんあるのをご存知でしたでしょうか。あなたはこの4800種類の中から1種類だけを選ばなくてはいけません。何を基準に選びますか?
よく「金利が安いのはどのローンですか?」と聞かれることがありますが、仮に「4800種類の住宅ローンの中で最も金利が安いのはコレです」と提示されたら、あなたはそのローンに決めますか?そんなことはしないはずです。
返済年数や、月々の返済額、変動金利なのか固定金利なのか、総額でいくら払うことになるのか、それらをすべて総合して検討しなくてはいけません。さらに「保証会社はどうするのか」「団信は?」「手数料は?」「登記費用は?」「司法書士?」と、初めて住宅ローンを組む人はほとんど知らない、しかし確実に支払いに影響してくる要素が住宅ローンにはたくさんあります。
つまり何が言いたいかと言うと、住宅ローン選びは「プロ」の領域だということです。
では住宅ローン選びのプロとは誰なのか、それは、住宅ローンについて公正な立場で情報収集をしている「住宅会社」であったり、または「ファイナンシャルプランナー(FP)」というお金の専門家です。
「え?銀行の住宅ローン担当者じゃないの?」と思うかもしれませんが、金融機関は住宅ローンに金利を付けることで利益を得ています。つまり、住宅ローンは金融機関にとって「商品」です。一般的に他社の「商品=住宅ローン」を勧めることはありません。
つまり、あなたがある銀行の窓口を訪れた瞬間に、選択肢は4800からその銀行が揃えている住宅ローン商品数種類に絞られているのです。さらに言えば銀行の窓口担当者は、住宅ローンという「商品」を売る“営業マン”ということを覚えておいて下さい。
住宅ローン選びは家族の将来に関わる重要な選択
住宅ローンを組んでマイホームを持つことの最大のメリットは、将来にわたり居住費の心配をしなくて良い、という点です。住宅ローンには団体信用生命保険(団信)という仕組みがあり、一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、残りのローンを保険でカバーできるようになっています。(*一部の住宅ローンでは団信を付加しない選択肢もあります)。
賃貸の場合、予想外に家賃が上がることもありますし、万が一世帯収入が激減した場合には何の保証もありません。
住宅ローンの勉強をして、ライフプランを立て、リスクに備えながら自分たちで将来設計を立てることができれば、マイホームを持つことはとても心強いことなのです。
居住費の支払いが安定し支出(返済額)が明確になれば、他の生活費もコントロールしやすくなります。自由に使えるお金がいくらかはっきりと判れば、安心して家族旅行や趣味に費やすことができます。
少し極端に聞こえるかもしれませんが、住宅ローンの組み方は、家族の将来のあり方に少なからず影響します。中立な立場で住宅ローンの情報を提供してくれるプロと入念な打合せをして決定して下さい。